2010年05月23日

総務省から『スマート・クラウド研究会報告書』が公表されています。

流行りばかりを追っているつもりはありませんが、私の担当科目の性質上新しい内容を反映していくことは当然必要になります。そういう事情から、昨年からはクラウドコンピューティングについても講義でちょこちょこと取り上げています。学生も、目新しさなのか、インパクトが大きいのかは分かりませんが、クラウドについてはある一定の関心は持っているみたいです。

総務省が、5月17日に『スマート・クラウド研究会報告書』を公表しています。これは、2月上旬〜3月上旬に公表した中間報告に対するパブコメ結果を反映させたものとのことです。
次項有総務省
「スマート・クラウド研究会報告書」の公表
スマート・クラウド研究会報告書(本文)(PDF)
スマート・クラウド研究会報告書参考資料(PDF)

これらの資料については、高崎経済大:情報科学と、新島短大:情報システム論において、少し紹介させてもらいました。履修学生の皆さんは、ぜひ目を通しておいてください。

何人かの学生が講義後にコメントしてくれた点を中心に、学生たちがクラウドという存在をどう見てるのかというと、最も多い意見は「セキュリティ面に問題がありそう」という点でしょうか。自国にデータが無い可能性があるという状況が最も不安を感じるようです。インシデントが発生したときに、セキュリティの問題が国際間でのトラブルに発展するという状況は不安を煽るのかもしれません。しかし一方で、クラウドという技術がもたらすメリットも無視出来ないわけです。ある学生が「セキュリティの問題さえきちんと解決出来るなら、クラウドは積極的に利用して行きたい技術ではないか」とコメントしていましたが、その視点が提供側、ユーザ側の双方に求められるだろうといえますね。

クラウドという存在そのものが、現在の日本国内の企業にとってきちんとビジネスとして成立しうるか、という点について私自身は今でも疑問視しています。もうすでにサービスを手広く始めてしまっている主要な海外企業とどう差別化していくのかということをマジメに考えねば、ビジネスとして成立しません。時々、データの存在が国内にあるから安全などという表現でビジネス展開しようとしている一部ベンダーさんを見かけますが、それは大したビジネスメリットにはならないでしょう。国内にデータがあるが故にそれに係るコストが割高となり、サービス単価が引き下げられないのであれば、さほどの利益は出せないだろうと。そもそも日本にあるから安全というのは、食品輸入の問題とさほど変わらないレベルでしかありません。適切なリスク管理をしていくという態度が必要だと思います。
企業経営でのITの利活用においては、提供側がリスクをきちんと明示し、利用側がそのリスクに基づく対応をきちんと決めた上で取捨選択することは当たり前のように求められます。これは、クラウドであろうが従来の情報システムの形態でも、本来は大差ありません。でも、実際にはそのアタリマエのことが出来ていないわけです。提供側がリスクを明示していなかったり、利用側がリスク対応を考えずに行動すると言う状況が常態化しているのが今の状況です。内部統制に基づくIT統制だの、ITガバナンスだの、いろんな言葉がここ10年ぐらいの間にIT業界に吹き荒れましたが、基本的には企業経営とITとの関係の中でこのことは目新しいことでも何でもなく、普遍的な当たり前なことのはずです。問題は、それができていないこと。前から、私はブログに書いていますが、教科書的なことをやれないのが最も問題だといえます。

アタリマエのことが出来ないという状況をどう打破していくのか、ITに関しては特に本質的な問題を含んでいるのでその辺りをきちんと考えていかねばなりませんね。
posted by はなだせんせ at 23:33| 群馬 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報システム・セキュリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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